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印象派の時代

 多摩美術大学の中村隆夫教授から印象派について聴く機会があった。中村教授によれば印象派は当時の「現代」を描こうとしたグループだという。

 印象派の時代は近代都市国家が形成された時代だ、イギリスで起きた産業革命が各国に普及する。19世紀半ばは、ナポレオン3世が大規模な都市改造を計画する。パリを起点として鉄道網を整備し、非衛生的なパリに光と風を入れるため、幅員の広い大通りを設置する。パリ改造は近代都市計画・建築活動に大きな影響を与え、近代都市のモデルと見なされた。

 パリの近代化は様々な形で周辺の地域へ波及する。近郊の町に工場が進出し、風光明媚なセーヌ河畔が都会人にとっての行楽地になっていく。それを担う重要な動脈となったのが鉄道であった。

 モネは近代化の象徴である鉄道をフランス初の発終着駅であるサン・ラザール駅テーマに描き1877年の第3回印象展に出品する。

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 機関車のもうもうたる煙がこの時代の近代化への沸き立つような雰囲気を伝えている。

 サン・ラザール駅から20分ほど汽車に乗って行くとラ・グルヌイエールという行楽地があった。着飾ったパリのブルジョアや名士たちが集まる行楽地で娼婦もたむろする歓楽地でもあったが、踊りや食事の出来る施設があり、夏には釣り、水浴び、ボート遊びが行われていた、当時のトレンディスポットといっていい。

 1869年モネとルノワールはこの人気スポットを訪れている。

モネの描いた「ラ・グルヌイエール」

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 水面の反射する光が美しい、画面右手にはカフェ、画面下部には小舟が見える、人の表情は読み取りにくい。

 ルノワールが描いた「ラ・グルヌイエール」

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 ルノワールも水面の光を描くか゛、こちらは絵の中のひとたちの話声が聞こえてくる感じがする。

 モネは光と影を描くための素材として人を使い。ルノワールは人を描くために光と影を使ったと言うべきだろう。

 「舟遊び」を見るとその違いがもっとはっきりする。

 モネの「舟遊び」

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 ルノワールの「船遊びの昼食」

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 変化する時代の「今」を描こうとする 印象派と宗教画とギリシア神話を主題に描いていたそれまでのグループが対立するのは必然だったのかもしれない。

 

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