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『乙女の告白』本年度芥川賞受賞作、赤染晶子

 ドイツ語学科のスピーチコンテストの課題テキスト「アンネの日記」の時代とそれを暗証する現代の女子大生たちの現代を重ながらコメディタッチで話が進んでいく。

 「アンネの日記」の謎として誰がナチスにアンネたちを密告したのかがある。小説ではスピーチ指導担当教授のバッハマンと女子大生の不適切な関係を誰が告白したのかが主要なテーマになっている。

 バッハマン教授はスピーチクラスをいちご大福とウィスキーではどちらが好きかという理由で「すみれ組」と「黒バラ組」に分ける。このエピソードはアウシュヴイッツのプラットホームで、収容者たちを右と左にわけるメンゲレ医師(ナチス親衛隊の制服と白手袋を着用してクラシック指揮者さながらに選別作業を行った)を思い起こさせる。バッハマンという名前がそもそもクラシックイメージなのだ。

 一言でいえば学園ドラマ劇画の原作という軽いノリで読んだが、選考したメンバーはそうでもなかったらしい。

1956年に『太陽の季節』で芥川賞を受賞した石原慎太郎は

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 この作品について「現代文学の衰弱」という題で

「こんな作品を読んで一体誰が、己の人生に反映して、いかなる感動を覚えるものだろうか? 中略 日本の現代文学の衰弱を表象する作品の一つとしか思えない」と選評している。

 1976年、麻薬とセックスに溺れる自堕落な若者たちむを描いた『限りなく透明に近いブルー』で群像新人賞および芥川賞を受賞した村上龍は

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「人種差別は絶対的な悪だが、悲しいことに誰もが密告者になり得るという真実は、もっと緻密に、そして抑制して書かなければいけないと思う 中略 残念ながら単なる好みの問題として、わたしは感情移入できなかったと選評している。

石原も村上も当時のもっとも先進的な若者像を描いて芥川賞を受賞した。当然当時の文壇の権威(おっさん、おばば)から酷評された記憶がある。

 石原77才、村上58才 老境に入り、36才の若手の女性作家、赤染さんを酷評している。なるほど歴史は繰り返されるものだと、小説よりもこちらのほうが面白い。

 

 

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読むべき本、読みたい本

 ゼミの忘年会で教授から「読んだほうがいいですよ」と勧められたのがこの本。

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カントである。大学へ通う面白さのひとつに、普通だったら絶対に読むことのない本と出合うことではないだろうか? まったく無縁の哲学書だ。しかし教授の推薦である、1年間ほどかけて読むことにした。

12/29 元の会社の仲間との忘年会。先輩が面白いぞと勧めてくれた本。「ソウル・コレクター」科学捜査官リンカーン・ライムと女性巡査アメリアドナヒーのコンビ8作目。このシリーズは常に面白い。

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 これから読むべき本(まだ発刊されていない)としては、「天使と悪魔」「ダ・ヴインチ・コード」のロバート・ラングドン教授シリーズの3作目。

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もう一冊は最近出された本ではないが

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先輩曰くそうだよなーと共感することしきりの本だそうだ。

読むべき本と読みたい本を手に入れた忘年会だった。

 

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工作員のつくりかた

 警察の組織を研究中にこの本に出会った。

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北朝鮮の工作員がどう作られるのかが書いてある。

「深夜、日本海の海岸にボートで上陸する。海岸で背広に着替えて近くの駅に向かい、東京方面の列車に乗り込む。東京から北朝鮮出身で北朝鮮に肉親が生存している在日朝鮮人の住居地に向かう。そして北朝鮮に暮らす肉親の写真を見せ、自分に協力しなければ肉親の命はないと脅迫する。在日朝鮮人はやむなく工作員に対して全面的協力を約束する。経済面、宿泊先、人脈、その他、工作員の要求すべてを受け入れる。こんな工作員が日本にはゴマンといるのだ」

他にも外国人スパイに日本の警察がどう対応しているのかがわかり面白い。この種の本にありがちな本人の自慢話を苦にしなければ日本の公安の仕事が見えてくる。

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