小説の書き方

富士見坂文庫第一回作品集

 一カ月半ぶりに飯田橋に行く、前回は外堀公園の花見で立ち寄ったのだが同じ道が新緑でいっぱいだった。

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本日の会合は法政大学文芸クラブ「ライターズ」の新入生歓迎会である。同時にこの文藝クラブ初の作品集が出来上がった日でもある。一年間の活動の成果をまとめた。

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各作品内容は

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 「ソウル 日韓価格合戦」が私の作品、ペンネームは立教セカンドステージ大学の仲間二人の苗字と名前を借用した。理由はペンネームを考えるのが面倒だったから。内容の出来についてはペンネームを考えるよりは少し時間をかけた程度と言っておこう。もちろん富士見坂文庫に載せた他のメンバーの作品は私の作品の数段上の出来であることは責任を持って保証する。

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男子三界に家なし

 文章修業の集まりが昨日飯田橋であった。グループのご婦人にエッセイコンテストへのチャレンジを勧めてみた。「ロンジンエッセイコンテスト」「感謝の気持ちから始まるエレガンス」妻に夫に、感謝の気持ちを、 応募資格は既婚者限定 原稿用紙4枚 商品はロンジンのペア時計 商品が目当てではない。エッセイが得意な人なので腕試しのつもりでチャレンジしてみたらと軽い気持ちで進めたのである。

 即座に却下された。「旦那に感謝することなどかけらもない。そんな私が夫に感謝の気持ちがテーマのエッセイなど書けるわけもない。夫以外、たとえば両親、子供、友人に感謝することならたくさんある。それではいけないか?」主催者が「妻に夫に、感謝の気持ちを」と謳っている以上その他の人への感謝はテーマから外れる形になる。「何もないと突き放さずにたとえば子どもたちも大きくなり夫婦二人きりの暮らしになって相方がいるだけでも退屈しのぎになるではないか」と説得しようとした。「ふたりきりでいること自体がうっとうしく腹だたしい。一緒にいるのがいやだからこうして外出してきているのだ」という。未婚の女性群も参戦して男の役立たずぶりの大合唱となる。

  帰ってこの話をカミさんに話すと「私も同感、この前お父さんがソウルに行った3日間、食事の支度に追われることもないし、のんびりゆったりした気分で幸せだったなあ、これからもドンドン旅行に行きなさい」とのたまう。面と向かって当の本人に言って良いことといけないことがあるではないか。「思いやり」とか「惻隠の情」とかいう言葉は我が家では死語となりつつある。「男子三界に家なし」を実感する今日このごろである。

それでもまだわずかにでも妻に夫に感謝の気持ちがあるというごく少数と思われる希少な人々のために「ロンジンエッセイコンテスト」の募集要項をお知らせしたい。

「感謝の気持ちから始まるエレガンス」の気持ちからはじまるエレガンス

文芸・コピー・論文 11月22日の「いい夫婦の日」を皮切りに、ご夫婦の皆様からエッセイを公募させていただくことにしました。公募のテーマは「感謝の気持ち」。このテーマは、エレガントに生きる原点は感謝することにあるとの考えに基づいています。でも、いつも一緒にいる夫婦はついついその気持ちを忘れがちです。本当は感謝しなければならないことはたくさんあるはずなのに……。この公募をきっかけに、妻に、夫に、感謝の気持ちをエッセイにして伝えてみませんか。感謝しなければ、と思えることがたくさん見つかったご夫婦は、きっとエレガントな人生をおくってこられたに違いありません。伝えたい気持ちが一杯にあふれた素敵なエッセイをお待ちしています
日程 作品提出締切 2009年5月22日
ロンジン・エレガンス賞 (3作) ロンジンの時計「ラ グラン クラシック ドゥ ロンジン」ペア(紳士用1本/婦人用1本)
募集内容 エレガンスをテーマに時計作りを続けるロンジン。そんなロンジンが「エレガントな人生を送るための原点は感謝することにある」との考えに基づき、ご夫婦を対象に実施するエッセイ・コンテストです。妻に対して、夫に対して伝えたい「感謝の気持ち」をエッセイにしてください。
応募方法 1600 字以内に収めた原稿を下記宛に郵送してください。作品の扉頁には、氏名・年齢・住所・電話番号・職業を必ず明記してください。
※ファックスやWEBサイトからの応募はできません。
参加資格 既婚者
著作権の扱い 応募作品の著作権、使用権などの諸権利は、スウォッチ グループ ジャパン株式会社 ロンジン事業部に帰属するものとします。
主催 スウォッチ グループ ジャパン株式会社 ロンジン事業部
送付先
問合せ先
〒104-0045
東京都中央区築地2-5-9 堤ビル3 F
「 ロンジン エッセイ コンテスト事務局」公募係
tel : 03-6254-7351(スウォッチ グループ ジャパン株式会社 ロンジン事業部)

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「利休にたずねよ」に寄せられたコメント

サインさんから寄せられたコメント。私よりも読書人と思えるので紹介したい

第139回直木賞で「千両花嫁」が落選した山本兼一の作品「利休にたずねよ」気にはなり本屋で立ち読みしていましたが、まさか受賞するとは思いませんでした。複数の利休に関わった人間から見た利休の行き様を羅列している作品と短絡的に思った故です。
受賞が決まり翌日本屋に走るも何処にも初版本は無し。
この40年間、直木賞受賞作品を推測し初版本を持ち今回の受賞作品「悼む人」を購入し読んでいた私としては不覚の至りです。
その後ネットオークションで初版本を手に入れ悦に入っています。
緑釉の香合をモチーフに切腹の日から時を遡り利休を描くこの作品に感じ入りました。

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直木賞「利休にたずねよ」を読んで

 第140回直木賞、「利休にたずねよ」山本兼一、著者は46才で作家デビューした遅咲きの人である。利休の追及した美の原点は実は恋の力にあるというのがこの小説のテーマだ。

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利休の死から時間を逆回しにしながら、秀吉、細川忠興、家康、石田三成など複数の視点から利休が描きだされる。縦軸には若き日に利休が愛した゛李朝の女゛との出会いがある。小説の持つ深い愉しみを味わえる作品だ。

 立教セカンドステージ大学、千石英世教授のゼミでの研究テーマが「複数視点からの表現に挑戦した作家たち」である。きっかけはわたしの文章修業の師匠である純文学作家の佐藤洋二郎さんから「はじめは一人称で書くことを勧める、三人称や複数視点から書くのはプロでも難しい」と聞いたことだ。それからピカソが同じ人物を前から横から後ろからとさまざまな角度から見たものを一枚の絵に描くのは何故か?黒澤明監督の『羅生門』の登場人物、盗賊、武士、その妻が同じ山中の出来事を全くことなる事件として語るのは何故かを研究テーマにした。

 昨年の夏ごろ千石教授から「複数視点の表現の作家たち」の対象としてフォークナーの『響きと怒り』を加えたらと指導があった。没落する南部の名門一家を兄弟3人が語る物語である。『響きと怒り』は時間の逆回しの手法も取り入れている。かなり難解な作品であるがよみすすむほどに分かり易くなる作品でもある。

複数視点によって利休を描きだすこの作品を 誰に利休を語らせるのか?当然語る資格があるはずなのに作者が意図的にはずした人物はだれか?それぞれの語り手が利休の何を語ったのかを読み解くのはミステリー小説のような楽しみがある。この作家の他の作品も読んでみたくなった。

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ブログへのコメント

 このブログへのコメントは非公開形式となっている。ひとつは2チャンネルまがいのコメントが時々寄せられることがあること、二つ目は元の会社の後輩たちの私的な連絡網がわりになっていることがその理由だ。今回「芥川賞受賞作を読んで」にコメントが寄せられたので公開したい

『Yさん「61歳からの大学ノート」読まさせて頂いています。
「ポトスライムの舟」今まさに読んでいる最中でコメントは未だ出来ませんので失礼します。
最近の芥川賞受賞者は女性続き、男どもに喝を入れたいものです。
純文学、推理小説融合した作品「神器」奥泉光お勧めです。』

サインさんありがとうございます。「神器」さっそく読んでみます。

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芥川賞受賞作を読んで

 芥川賞受賞作「ポトスライムの舟」津村記久子を読む。文藝春秋によれば「派遣世代」の新しい文学誕生!のようである。29歳大卒、工場勤務、友人の喫茶店でパート、土曜はパソコン教室の指導員の女性ナガセの日常風景を丁寧に描く、結婚した友、離婚する友、離婚を思い留まる先輩などなとのエピソードが続く。

 離婚を決意し娘を連れて家を出たりつ子が実家の福岡に帰る電車賃がないと言うと「あのさ、一回は実家に帰る?電話で話すだけよりはお母さんと会ったほうがええと思うんやけど、どうする?」お金、貸すけど、と口走っていた。そんな余裕はまったくないのにもかかわらず。中略 りつ子は、長いことうつむき、やがて氷の溶けたグラスのお茶をあおって,鼻をすすり、ごめん、と言った。その夜、母親とりつ子と恵奈が寝静まった後、ナガセは最寄のJR奈良駅から博多までの運賃を検索した。新幹線の自由席を正規料金で利用して、片道14290円というのが、ざっとみたところではいちばん安そうだった。ナガセは、通勤用のバッグから手帳を取り出し、計算機を叩きながらしばらく考え込んだのち、走り書きで書き付けた。28580円気前がよすぎる?約三日半分の労働。ずっと寝ていて工場やカフェを休んでいたと考えればよい。自分をだます(りつ子なら返してくれる。やっぱり気前良すぎ?)

うまいなぁ-と言いたくなる文章である。津村氏は2005年太宰治賞、2008年野間文芸新人賞を受賞している若手作家であり、この主人公の細かいこころの動きを描く筆力をみれば今回の受賞も当然といえる。ないものねだりを言えば物語性というところか?最近の芥川賞受賞作はうまい書き手が多いが小説の面白さが希薄と感じるのは私だけだろうか?個人的趣味と言えばそれまでだがミステリーが好きだ。

ジエイムズ・エルロイの『ホワイト・ジャズ』にみられる、過激な暴力描写と複雑緻密を極める多数の事件での展開。古書本の流通の面白さとミステリーがたのしめる「死の蔵書」、ミステリーの要素を極限まで排除したストレートでスピード感溢れる文章と、音楽の話題などを盛り込んで世相を生き生きと映し出す作風で人気となったジョージ・ペレケーノスの「明日への契り」小説って面白いなと感じさせてくれる。純文学の芥川賞に面白さを要求するのは間違っているのだろうか?

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芥川賞に挑戦する

 1/6、文藝クラブ「ライターズ」の今年初会合があった。今年度の目標が話題になる。二年生の仲間が芥川賞に挑戦したいと言う。大胆素敵。それではメンバー全員で挑戦することに。立教の千石教授の言葉を思い出した。「畳めないほどの大風呂敷を広げてチャレンジしよう」まさにこれである。結果はどうあれ今年は芥川賞にチャレンジした年として記憶に残る年になりそうだ。

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「小説を書こう」教室の修了証書

 「小説を書こう」佐藤洋二郎教室第四期も終了した。佐藤氏は小説家だけに実践的な指導が多い。「彼はおおいに怒った」などと間違っても書くなという。感情は動作で語れと教える。「しっかりと握りしめた彼のこぶしがブルブルとふるえた」と書けと教える。「彼女は美しい」は落第。髪型は?髪の色は?眼は大きいのか小さいのか?丸顔か細面てなのか? 形容詞でなく形で語れと教える。書いたら何度も何度も推敲すること。それ以外に文章がうまくなる方法はない。プロは書くことそのものより推敲に時間をかけていると教えてくれる。終了にあたって修了証書が渡された。

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この証書は車の運転免許証のように運転する資格を証明する類のものではない。この講座を修了すれば文章がうまく書けるわけでもないし、小説家としての資格を保証するわけではない。ではどう活用したらいいのか?パソコンの置いてある机の前に貼り出すことにした。文章を書くたびに佐藤先生の「ゆるい文章を書きなさんな」という口癖が聞こえるような気がしたからである。

最終講義終了後懇親会になる。

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左手前から二人目が佐藤先生である。学生からは学割会費を徴収する。最後の不足分は先生が負担する。この講義をすることで得る収入より持ち出しになることが多いらしい。まじめに小説に取り組んでいる人もいるが「宴会命」の人の方が圧倒的に多いのだ。講座は終了したのに飲み会の定期開催はすでに決まっているのである。

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原稿用紙一枚25万円

 プロミスが主催するエッセー大賞「約束」。原稿用紙4枚以内で大賞をとると100万円である。一枚25万円日本一高い原稿料ではないか?昨年小説を書く勉強会の仲間10数人でチャレンジした。みんなで各人の作品を検討する。入賞したらその一割でみんなで飲み会という決めごとになっている。昨年は全員落選。こりない面々は今年もチャレンジする予定だ。なに作品検討会にかこつけてみんなで飲み会が主たる目的である。今年も全員落選の可能性があるが落選記念の飲み会の期日はすでに決定している。

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自費出版のお値段

 法政大学文芸クラブ「ライターズ」の会合11/19 。来春の新入生勧誘の打ち合わせ。チラシは当然として 活動報告として文集を作成して 配布することになった。ホチキスどめはさびしいので製本することに決定。問題は費用。リーダーの田引君三年生がインターネットで調査して比較的安いのが見つかった。立教セカンドステージ大学で立花隆教授の「自分史」の講義をとって自費出版を考えている人もいると思うのでお知らせしたい。

タイプ別お値段になっている

1 安価で本を作りたい

2 本格的な本にしたい ソフトカバー

3 最高級の本にしたい ハードカバー

4 手書き原稿を本にしたい

一例をあげれば安価バージョンで B5サイズ 60ページ 100冊で 55500円 

詳しくはインターネットで「K.C.Print」で検索してください。

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不良老人伝

 11/12 世の中には読んで「ためになる本」と「面白い本」がある。いつも「面白い本」を教えてくれる先輩、亀さんと昨日ある会合の後、渋谷で飲んだ。無類の読書家だ。異なる生い立ちをした兄弟がそれと知らずライバルとしてしのぎを削るサーガ「ケインとアベル」ジェフリー・アーチャー著1981年、自ら古書店を経営していたジョンダニングが古書の流通事情をはさみながら書いたミステリー「死の蔵書」1992年をいち早く教えてくれた人だ。今回は「不良老人伝」を紹介してくれた。

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「老」という言葉にはもともと自由という意味があるらしい。「不良」という言葉は世の中の常識から外れること。しがらみを断ち切るなどの意味があるらしい。常識にとらわれず自由に生きたひとたちが紹介されている本のようだ。読んでみたいと思う。家に帰ってこの本の話をカミさんにしたら「あんたは昔から不良だったからその本にあっている」と言われた。どういう意味だろう?

もう一冊は「神なるオオカミ」(上・下)講談社。文化大革命でモンゴルに下方された主人公が遊牧民の生活やオオカミに魅せられていく物語。著者の実体験をベースに書かれたらしい。中国では200万部のヒット作品。

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冬の夜贅沢な時間つぶしが出来そうな長編小説の感じがする。

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「小説を書こう」教室

 10/17純文学作家で日大教授、佐藤洋二郎さんの「小説を書こう」教室に出席する。法政大学のオープンカレッジの主催である。前期はセカンドステージ大学の授業の関係で半年ほどさぼった形なので久し振りの受講になる。受講生は学生四割、社会人六割。女性が四割程度だろうか?

 冒頭「小説を書く人は当たり前のことを疑ってほしい。たとえばわれわれの国をなぜ日本とよぶのか?」と講義がはじまった。25年程前当時流通業界の名コンサルタントの城功先生に会った時の最初の指導が全く同じだった。「この商品はなぜ入口に並べているのか?」「同じ商品なのに店が違うとなぜ売れ行きが変わるのか?」「なぜ子供のいない家に子供用品が掲載されているチラシを配布するのか」なぜ?なぜ?の連続攻撃 なつかしい気がした。

そういえば立教セカンドステージ大学の千石ゼミでも教授は「なぜあなたはそう考えたのか?」「作者はなぜこの色づかいにしたのか?」と質問形式で指導する。あまり当たり前なのことなのでつい見過ごしてしまいがちなことへ目を向けさせる。

佐藤先生、城功さん、千石教授 私の師匠たちは共通して「当たり前のことを疑うことが出発点」と教える。マネジメント、文芸の世界を超えた共通の真理なのだろう。

授業終了後佐藤先生の行きつけの店で飲む。昨年先生の小説教室に参加したメンバーの有志で「法政大学文藝クラブ『ライターズ』を立ち上げたことを報告すると大変喜ばれた。昨年小説教室の最後に先生が「文章を書くという作業は大変孤独なものです、一人ではなかなか続きません、みんなもあつまって勉強会をしたらどうですか?」と提案された。それに応える形でライターズを結成したのだ。一度ライターズのメンバーと先生の懇親会を行う約束が決まる。

最近佐藤さんの本が出版された。「沈黙の神々 2」である。

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佐藤さんは20年以上全国の有名無名の神社を訪ね歩いている。難しい本ではない、ライトエッセイである。歴史に書かれた当たり前のことを疑う精神がこの神社めぐりの動機なのかも知れない。時折息子さんが登場する。受験生のとき「第一志望は浪人」と言う。私のカミさんは佐藤さんというよりこの息子さんのファンである。「自分の娘よりセンスがいい」と息子さんを応援している。40才以下の人にはおすすめしない。大人のための上質なエッセイだと思う。ちかごろ芥川賞受賞作は面白くなくなったと思う人におすめする。断っておきたい。佐藤さんからは何も頼まれていない。私が勝手にこの本を周囲にすすめている。しかしまてよ、あの飲み代は佐藤先生のおごりだったのかどうか記憶にありません。

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突然変異に会う

10/7法政大学の食堂 たぬきそば320円を食べる

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麺はそこそこのコシがあり汁はすっきりした関東風でうすめである。ほぼ合格点だ。惜しいと思うのは具のかまぼこ、紙のように薄いみごとなまでの薄さである。生まれて初めてこんなに薄いかまぼこに出会った。

本日は法政大学文芸クラブ「ライターズ」の定例会、社会人としてオープン参加している。学部二年生の女子Nさんの文章を読んでうーんとうなってしまった。彼女が一年生の時から文章を読んでいる。正直に言えば作文の域を出ない平凡な文章というのが毎回の感想だった。今回は達者な語り口、意表をつくストーリー展開といままでとまったく違うできなのだ。

会が終わっておなじく社会人なのだがメンバーの永田さんと居酒屋に入る。法政大学四年生の息子さんがいる専業主婦だ。「Nさんの文章 突然変異したね」と私。「若い人はああいう風にドドーと変われるのね。うらやましいし、みるほうも楽しいわ」「あの娘はもっと長い文章にチャレンジさせてみたいね」「わたしもそう思う、彼女の文章をみて エッセーばかりかいていたんだけど小説にチャレンジしてみたくなったわ」

19歳の大学二年生が50才の社会人のチャレンジ意欲を引き出す。大学生と社会人の混合クラブ「ライターズ」の不思議なおもしろさにカンパイ。

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小説を書く会

 昨年10月から3か月ほど法政大学のオープンカレッジPhoto

「小説の書き方」小説家の佐藤洋二郎先生の講座に参加した。ビジネス文しか書いたことがないので文章修行の軽いノリで通った。小説を書くなどとだいそれた気などまったくない。実際文章はほとんど書かなかった。佐藤先生の話の面白さ、人柄の良さに魅かれて通っていた。この人の『沈黙の神々』は私のおすすめの本である。全国の無名の神社巡りのエッセーだが大人の読むべきものという感じの本だ。

佐藤先生の言葉に<創作の「創」という文字は「はじめ」という意味もありますが゛、「きず」という意味もあります。小説を書くということは他者も自分も傷つけることがあります>よくわからないけれど、なんとなくわかるのだ。佐藤先生はまた「小説はひとりでは書けない。仲間で集まって勉強会をやったらどうですか」と提案していた。

今年の6月この佐藤塾の生徒が集まって勉強会が始まったDscf0230呼びかけの主は19才の女子大生(写真)である。これに 大学生、社会人、もうすぐ後期高齢者の私も参加した。この中から芥川賞受賞者が出るかもしれないというのは冗談だが、秋になったら佐藤先生をこの勉強会に招待して楽しい酒を飲みたいというのが生徒たちのささやかな目標である。

佐藤 洋二郎(さとう ようじろう、1949年6月 )は小説家。福岡県生まれ。中央大学経済学部卒業。1992年に処女小説集『河口へ』を上梓。日本大学芸術学部教授。

1995年: 『夏至祭』で第17回野間文芸新人賞

2000年: 『岬の蛍』で第49回芸術選奨文部大臣新人賞、『猫の喪中』で第123回芥川賞候補

2001年: 『イギリス山』で第5回木山捷平文学賞

著書の一部

極楽家族(講談社,2000)

実戦小説の作法 (日本放送出版協会,2002)

南無(集英社,2002)

おーい、宗像さん(講談社,2002)

ミセス順(文藝春秋,2002)

福猫小判夏まつり(講談社,2003)

人生の風景(作品社,2004)

沈黙の神々(松柏社,2005)

夏の響き(集英社,2005)

やきにく丼、万歳! おやじの背中、息子の目線(松柏社,2006)

未完成の友情(講談社,2006)

恋人(講談社,2008)

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