小説の書き方

推敲するということは

 文章を推敲するということは具体的にはどうやるのか? プロの作家に聴いてみた。

 プロの作家はアマチュアの10倍、時間をかけて推敲するらしい

 4項目あるようだ

1 稚拙な文章はなおす

 ・擬声語、擬態語を見直す

 ・てあかのついた比喩を訂正する

 ・ありきたりの四字熟語を使わない

要するに自分の言葉に直すこと

2 リズムを直す

 ・主語が多いと読みにくい

  吉田は・・・・同じ段落で吉田の声は・・・・

 ・繰り返しは止める。くどくなる

 ・はじめと終わりに一貫性を持たせる

  佐藤は・・・・・と言っておいて彼は・・・・に言い変えない

3  人にみてもらう これが一番良い

4 他人の文章を深く読む

 大学でレポートを提出する場合、教授の指導ももちろんだが、ゼミの仲間や飲み会のメンバーにみてもらった。当然相手のレポートも見る。良い意味で批判するためこちらも文章をしっかり読み込んでコメントすることになるからだ。なんらかの意見を言わなければならないので仲間の文章をじっくり読むことになる。

 そうすると どんな文献からこの文を起こしたのか? とか組み立ての緻密さ、ハッとするような斬新な表現等にに出会うことがある。 「他人にみてもらう」「深く読む」とはこういうことかと思った。

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ラストエンペラー

 映画「ラストエンペラー」を見る。紫禁城(故宮)で世界初のロケーションを行ったことが大きな話題を呼んだ。特に故宮太和殿での即位式の荘厳、華麗なシーンに圧倒された。

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1987年度のアカデミー賞ではノミネートされた9部門(作品賞監督賞撮影賞脚色賞編集賞録音賞衣裳デザイン賞美術賞作曲賞)全てでの受賞を達成した。

 1908年 西太后は愛新覚羅溥儀を清朝の皇帝に指名する。満州国の皇帝となり、ソ連軍の抑留され、その後文化大革命のさなかに一市民として死ぬ数奇な運命の人を描いた傑作。

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 西太后の時代、清朝内部では、西太后を支持する后党と、西太后を除いて皇帝の親政を実現しようとする帝党とに分かれて激しく対立していた。

 浅田次郎は西太后側に弟、皇帝側に兄を配し、敵味方に分かれた兄弟を小説『蒼穹の昴』に書く。浅田は「この小説を書くために小説家になった」と言っている。

 NHKがこれをテレビドラマ化して現在上映中、見ごたえのあるドラマになっている。西太后を田中裕子が演じている。

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 清朝のラストエンペラーが溥儀であるなら、ファーストエンペラーは誰かを知りたくなる。

 

 17世紀初頭 明から独立して「後金国」を率いたのがヌルハチ、この「後金国」が「清」の前身である。「後金」は「明」を恐れていた。そこで国名を改めたという。「明」の字にある「日」は「火」に通じる、「後金」は「金」の字を持っている。陰陽五行説では「火は金を溶かして金に勝つという」「後金」の人たちはこれを恐れた。

そこで、「水」は「火」を消し、「火」に勝つという言葉に従って、水の字ある「清」に名前を変えたらしい。

 ヌルハチは女真族の出身だった。女真族はのちに満州と名を改める。初代と最後の皇帝が互いに満州に関連していたのは運命のいたずらとしか言いようがない

 同じ17世紀の初頭 豊臣政権から徳川政権へと移行した日本の平戸島に漂流してきた女真族の貴族の娘アビアを、平戸藩の庄助という下級武士が藩の命令で、隠密に女真の地、満州まで送り届ける物語。司馬遼太郎の最後の長編小説となった『韃靼疾風録』である。

 歴史を調べる。語源を調べる。知りえた事実に、

 浅田次郎は敵味方に分かれる兄弟を加える

 司馬遼太郎は豊臣の時代に武士と外国人の恋愛を加える

 小説を創る時の作家の手の内の一部が垣間見える感じがする

 

 

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日本一の原稿料

 4年前 「日本一高い原稿料の文章を書いてみないか? 」と誘ってくれたのは作家の佐藤洋二郎さんだ。「約束エッセー大賞」大賞賞金100万円、原稿用紙4枚以内で毎年公募されている。1/15前後が締め切り日。今年もそろそろ公募の時期になる。原稿用紙一枚25万円は日本一高い原稿料というわけだ。

 もし入賞すればその賞金の一部でみんなで飲みに行こうという計画もある。現在4年連続で入賞者が出ていない。したがって飲み会もお預け中だ。

 このエツセーにチャレンジする仲間は5人ほど、事前に各人の応募原稿の検討会を開く。他人の文章を批判するのは難しい。遠慮があるからだ。しかしここは違う。なにしろ100万円がかかっている。無料の飲み会もある。そういう理由で批評は容赦のないものになる。

 合否は別にして佐藤さんが狙ったのはこの仲間同士の真剣な批評の実践かもしれない。今年もそろそろテーマの検討に入る時期になった。

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プロ作家の技

 作家の佐藤洋二郎さんは言う。「彼女は笑った」では小説の文賞にはならない。どのような「笑い」なのかが読者に伝わらないから。「きれい」ということを「きれいと思わせるように書く」それが技だという。なんとなくわかるのだが具体的にはどうすればいいのかがわからない。

彼の書いた小説から具体例を拾ってみることにした。

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タイトルはこちらで勝手につけた。例えば「痛みをこらえる」をどう表現したのか? P78

 「おんながいうと、男は立ち上がろうとした。しかし起き上がることができず、また下腹部を押さえ蹲った。彼女が手助けしようとすると、手のひらで押した。それで彼女も歩道に尻餅をついてしまったが、改めて相手が顔を歪めているのを見て、慌ててシヤッターを開けた。それから男を引き込むように店の中に入れた。相手の額から汗をが滲み、目はうつろだった。男はおんなが差し出した椅子に座ったが、腰を海老のように曲げ、ふうーと息を吐き、痛みを堪えていた。

 「後悔」の表現 P139

 「おんなは何度も呻いた。歯が擦り切れるほど歯ぎしりしたが、身の内からこみ上げてくる怒りは収まらなかった。どうしてわたしがあんな男に気を許してしまったのか。情けなさと悔恨が身の内から湧き上がってくる。彼女はそんな感情を吐き出すように、重い溜め息をついた。

 「寂しさ」の表現 P203

「おんなは、自分には心を許せる人間が、誰もいないのだと知った。「わぁ」彼女はその沈んだ感情を抑え込むように立ち上がって、大声で叫んでみた。「わぁ」腹の底から何もかも吐き出すように叫ぶと、その声は風に流されて千切れた。それがまたむなしくかんじられて、一段と寂しさが増した。「うるせーぞ。バーカ」自転車に乗った少年が悪態をついて通り過ぎた。

 こうしてみると「痛み」「後悔」「寂しさ」という内面の感情を目に見える細かい動作を描写することで読者に伝えていることがわかる。佐藤さんの言う「きれい」と思わせるように書く」というプロの技が少しわかったような気がした。

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作家に必要な知識

 大工さんは右手に「かなづち」、左手に「のみ」を持つ、ここから「左党」を酒飲みと言うようになった。何故酒が飲めない人を「下戸」というのか? 律令制の時代、課税の単位として家族の単位や資産で「戸」によって分けられていた。多い順に「大戸、上戸、中戸、下戸」婚礼の時、酒の量が上戸は八瓶、下戸は二瓶と決められていた。このことから酒を 飲めない人を「下戸」と呼ぶようになった。

 ○は無を表し、天空を意味する、□は土地を意味し、国は土地は王のものという意味だとか。

 これを純文学作家で日大文学部教授の佐藤洋二郎さんから聴いた。なるほど作家というのはとりあえず世の中の役に立たないことをいっぱい知っていることがわかった。私が作家になれないのは「今、消費者は何を考えているか? 「どうすれば商品は売れるのか?」等々商売に役立つことしか知らない為だろうと思った。

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今年のNO1海外ミステリー小説

 文句なしに面白い、スウェーデン作家の作品。「ミレニアム」

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 探偵役の主人公を補佐するヒロインがユニークで魅力的だ。少女のように華奢で弱弱しく、手は小さく、足首は細く、胸のふくらみを服の下に識別するのは容易でない。24才だが、14才ぐらいにしかみえない。髪を極端に短く切り、鼻と眉にピアスをつけ、拒食症のようにやせた青白い肌の娘である。調査分析をやらせれば抜群の能力を発揮する。スウェーデンNO1の天才的ハッカーでもある。

 ストーリーは二転三転どころか四転五転する。とても新人とは思えない完成度の高い作品だ。同じコンビが活躍する三部作になっている。第一部の上下巻を読み終えたところだ。二部、三部を読むのが愉しみだ。今年読んだ海外ミステリーの中の最高の読み応え。

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富士見坂文庫第一回作品集

 一カ月半ぶりに飯田橋に行く、前回は外堀公園の花見で立ち寄ったのだが同じ道が新緑でいっぱいだった。

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本日の会合は法政大学文芸クラブ「ライターズ」の新入生歓迎会である。同時にこの文藝クラブ初の作品集が出来上がった日でもある。一年間の活動の成果をまとめた。

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各作品内容は

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 「ソウル 日韓価格合戦」が私の作品、ペンネームは立教セカンドステージ大学の仲間二人の苗字と名前を借用した。理由はペンネームを考えるのが面倒だったから。内容の出来についてはペンネームを考えるよりは少し時間をかけた程度と言っておこう。もちろん富士見坂文庫に載せた他のメンバーの作品は私の作品の数段上の出来であることは責任を持って保証する。

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男子三界に家なし

 文章修業の集まりが昨日飯田橋であった。グループのご婦人にエッセイコンテストへのチャレンジを勧めてみた。「ロンジンエッセイコンテスト」「感謝の気持ちから始まるエレガンス」妻に夫に、感謝の気持ちを、 応募資格は既婚者限定 原稿用紙4枚 商品はロンジンのペア時計 商品が目当てではない。エッセイが得意な人なので腕試しのつもりでチャレンジしてみたらと軽い気持ちで進めたのである。

 即座に却下された。「旦那に感謝することなどかけらもない。そんな私が夫に感謝の気持ちがテーマのエッセイなど書けるわけもない。夫以外、たとえば両親、子供、友人に感謝することならたくさんある。それではいけないか?」主催者が「妻に夫に、感謝の気持ちを」と謳っている以上その他の人への感謝はテーマから外れる形になる。「何もないと突き放さずにたとえば子どもたちも大きくなり夫婦二人きりの暮らしになって相方がいるだけでも退屈しのぎになるではないか」と説得しようとした。「ふたりきりでいること自体がうっとうしく腹だたしい。一緒にいるのがいやだからこうして外出してきているのだ」という。未婚の女性群も参戦して男の役立たずぶりの大合唱となる。

  帰ってこの話をカミさんに話すと「私も同感、この前お父さんがソウルに行った3日間、食事の支度に追われることもないし、のんびりゆったりした気分で幸せだったなあ、これからもドンドン旅行に行きなさい」とのたまう。面と向かって当の本人に言って良いことといけないことがあるではないか。「思いやり」とか「惻隠の情」とかいう言葉は我が家では死語となりつつある。「男子三界に家なし」を実感する今日このごろである。

それでもまだわずかにでも妻に夫に感謝の気持ちがあるというごく少数と思われる希少な人々のために「ロンジンエッセイコンテスト」の募集要項をお知らせしたい。

「感謝の気持ちから始まるエレガンス」の気持ちからはじまるエレガンス

文芸・コピー・論文 11月22日の「いい夫婦の日」を皮切りに、ご夫婦の皆様からエッセイを公募させていただくことにしました。公募のテーマは「感謝の気持ち」。このテーマは、エレガントに生きる原点は感謝することにあるとの考えに基づいています。でも、いつも一緒にいる夫婦はついついその気持ちを忘れがちです。本当は感謝しなければならないことはたくさんあるはずなのに……。この公募をきっかけに、妻に、夫に、感謝の気持ちをエッセイにして伝えてみませんか。感謝しなければ、と思えることがたくさん見つかったご夫婦は、きっとエレガントな人生をおくってこられたに違いありません。伝えたい気持ちが一杯にあふれた素敵なエッセイをお待ちしています
日程 作品提出締切 2009年5月22日
ロンジン・エレガンス賞 (3作) ロンジンの時計「ラ グラン クラシック ドゥ ロンジン」ペア(紳士用1本/婦人用1本)
募集内容 エレガンスをテーマに時計作りを続けるロンジン。そんなロンジンが「エレガントな人生を送るための原点は感謝することにある」との考えに基づき、ご夫婦を対象に実施するエッセイ・コンテストです。妻に対して、夫に対して伝えたい「感謝の気持ち」をエッセイにしてください。
応募方法 1600 字以内に収めた原稿を下記宛に郵送してください。作品の扉頁には、氏名・年齢・住所・電話番号・職業を必ず明記してください。
※ファックスやWEBサイトからの応募はできません。
参加資格 既婚者
著作権の扱い 応募作品の著作権、使用権などの諸権利は、スウォッチ グループ ジャパン株式会社 ロンジン事業部に帰属するものとします。
主催 スウォッチ グループ ジャパン株式会社 ロンジン事業部
送付先
問合せ先
〒104-0045
東京都中央区築地2-5-9 堤ビル3 F
「 ロンジン エッセイ コンテスト事務局」公募係
tel : 03-6254-7351(スウォッチ グループ ジャパン株式会社 ロンジン事業部)

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「利休にたずねよ」に寄せられたコメント

サインさんから寄せられたコメント。私よりも読書人と思えるので紹介したい

第139回直木賞で「千両花嫁」が落選した山本兼一の作品「利休にたずねよ」気にはなり本屋で立ち読みしていましたが、まさか受賞するとは思いませんでした。複数の利休に関わった人間から見た利休の行き様を羅列している作品と短絡的に思った故です。
受賞が決まり翌日本屋に走るも何処にも初版本は無し。
この40年間、直木賞受賞作品を推測し初版本を持ち今回の受賞作品「悼む人」を購入し読んでいた私としては不覚の至りです。
その後ネットオークションで初版本を手に入れ悦に入っています。
緑釉の香合をモチーフに切腹の日から時を遡り利休を描くこの作品に感じ入りました。

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直木賞「利休にたずねよ」を読んで

 第140回直木賞、「利休にたずねよ」山本兼一、著者は46才で作家デビューした遅咲きの人である。利休の追及した美の原点は実は恋の力にあるというのがこの小説のテーマだ。

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利休の死から時間を逆回しにしながら、秀吉、細川忠興、家康、石田三成など複数の視点から利休が描きだされる。縦軸には若き日に利休が愛した゛李朝の女゛との出会いがある。小説の持つ深い愉しみを味わえる作品だ。

 立教セカンドステージ大学、千石英世教授のゼミでの研究テーマが「複数視点からの表現に挑戦した作家たち」である。きっかけはわたしの文章修業の師匠である純文学作家の佐藤洋二郎さんから「はじめは一人称で書くことを勧める、三人称や複数視点から書くのはプロでも難しい」と聞いたことだ。それからピカソが同じ人物を前から横から後ろからとさまざまな角度から見たものを一枚の絵に描くのは何故か?黒澤明監督の『羅生門』の登場人物、盗賊、武士、その妻が同じ山中の出来事を全くことなる事件として語るのは何故かを研究テーマにした。

 昨年の夏ごろ千石教授から「複数視点の表現の作家たち」の対象としてフォークナーの『響きと怒り』を加えたらと指導があった。没落する南部の名門一家を兄弟3人が語る物語である。『響きと怒り』は時間の逆回しの手法も取り入れている。かなり難解な作品であるがよみすすむほどに分かり易くなる作品でもある。

複数視点によって利休を描きだすこの作品を 誰に利休を語らせるのか?当然語る資格があるはずなのに作者が意図的にはずした人物はだれか?それぞれの語り手が利休の何を語ったのかを読み解くのはミステリー小説のような楽しみがある。この作家の他の作品も読んでみたくなった。

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